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産業用太陽光発電の工事に必要な資格まとめ
産業用太陽光発電の工事には、第一種電気工事士が必要です。50kW以上の高圧連系案件では、さらに電気主任技術者の選任も義務付けられています。この2点が最重要です。
結論から言うと、無資格者が産業用の電気工事に手を出すと電気工事士法違反になります。罰則は3万円以下の罰金です。資格の有無は必ず確認しましょう。
この記事では、産業用太陽光発電の工事で必要な資格の種類・取得条件・現場での実務範囲を具体的に解説します。
産業用と住宅用で資格要件が変わる理由
☀️ 太陽光発電 見積もり
電圧区分によって適用される法律が違う
太陽光発電の工事は、電圧の区分によって必要な資格が変わります。
住宅用は一般的に低圧(600V以下)です。産業用は低圧案件でも規模が大きく、50kW以上になると高圧連系になります。
区分を整理すると以下の通りです。
| 区分 | 電圧・規模 | 必要資格 |
|---|---|---|
| 住宅用(低圧) | 600V以下・10kW未満 | 第二種電気工事士 |
| 産業用(低圧) | 600V以下・10〜50kW | 第一種電気工事士 |
| 産業用(高圧) | 600V超・50kW以上 | 第一種電気工事士+電気主任技術者 |
なお、太陽光発電関連の資格一覧と取り方|電気工事士・施工士・技術者では、各資格の取得ルートを詳しくまとめています。合わせて参考にしてください。
第一種電気工事士が担当する具体的な工事範囲
📖 参考書・テキスト
現場で第一種が必要な作業とは
18年の現場経験から言うと、産業用案件で第一種電気工事士が関わる作業は主に以下の5つです。
1. パワーコンディショナー(パワコン)の設置・配線
産業用パワコンは三相200Vが多い。単相対応の第二種工事士では対応できません。
2. 集電箱から低圧盤への幹線工事
複数ストリングの電力を集約する集電箱から、受電設備までの幹線引き込みが必要です。
3. 低圧配電盤・分電盤の施工
電流値が大きいため、使用するケーブルは60〜150sqになることも珍しくありません。
4. 接地(アース)工事
D種・C種接地の施工は必須。接地抵抗値の測定も担当します。
5. 系統連系保護装置の設置・確認
逆電力継電器(RPR)などの保護リレー設置も担当範囲です。
第二種では対応できない作業
実際に私が現場で経験したトラブルがあります。
2019年、兵庫県内の50kW未満の産業用案件で、施工会社が第二種工事士しか持っていない作業員を派遣してきたことがありました。低圧ではあるものの、最大使用電圧600V未満でも自家用電気工作物に該当する場合は第一種が必要です。その場で作業を止め、有資格者を手配し直した経験があります。結果として工期が1日延びました。
600V以下だからといって第二種で対応できるわけではありません。「自家用」か「一般用」の区分を必ず確認してください。
高圧連系案件に必要な電気主任技術者の役割
50kW以上は電気主任技術者の選任が必須
出力50kW以上の太陽光発電設備は高圧受電設備(自家用電気工作物)に分類されます。電気事業法第43条により、電気主任技術者の選任が義務付けられています。
電気主任技術者の種類は3つです。
第三種電気主任技術者(電験三種):5万V未満の電気工作物に対応。産業用太陽光では最もよく使われます。
第二種電気主任技術者:17万V未満に対応。大型メガソーラー案件で必要になります。
第一種電気主任技術者:全電圧に対応。大規模送電設備レベルです。
一般的な産業用太陽光(50〜2,000kW程度)では電験三種が必要です。取得難易度は高く、合格率は例年8〜13%前後です。
外部委託(保安協会への委託)という選択肢
自社で電気主任技術者を確保できない場合、電気保安協会や保安法人に外部委託できます。
委託費用の目安は以下の通りです。
・50kW〜500kW未満:年間30〜60万円程度
・500kW〜2,000kW未満:年間50〜100万円程度
小規模事業者は外部委託を選ぶケースがほとんどです。経済産業省 再生可能エネルギー政策のページでも、電気主任技術者に関する制度改正の最新情報を確認できます。
太陽光発電施工士(JPEA認定)の取得も強く推奨
電気工事士だけでは不十分な理由
電気工事士は電気系の資格です。太陽光パネルの架台設置・屋根貫通部の防水処理・傾斜角の計算は電気工事士の資格範囲外です。
太陽光発電協会 JPEA(公式)が認定する「太陽光発電施工士」は、パネル設置に特化した民間資格です。取得費用は受験料・テキスト込みで約4万円です。
発注元(施主・デベロッパー)が施工士資格の有無を確認するケースが増えています。電気工事士との両取りが現場では事実上の標準になっています。
その他の関連資格一覧
現場で役立つ資格をまとめます。
低圧電気取扱特別教育:感電防止のための安全教育。受講料約2万円。1日で取得可能です。
高所作業車運転技能講習:10m以上の高所作業に必要。産業用で屋根上作業がある場合に必須です。
足場の組立等作業主任者:仮設足場を設置する現場で必要。取得費用は約2万5,000円です。
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育:2022年から事実上の義務化。受講料は約1万円です。
工事の流れと電気工事士が関わるフェーズ
産業用太陽光発電の施工ステップ
産業用の施工は住宅用より工程が多い。標準的な50kW案件で工期は7〜14日かかります。
STEP1:測量・地盤調査(1〜2日)
架台基礎の設計に必要。電気工事士は関与しません。
STEP2:基礎・架台工事(3〜5日)
コンクリート基礎またはスクリュー杭を打設。電気工事士は関与しません。
STEP3:パネル設置(2〜3日)
架台への固定作業。電気工事士が施工士資格で対応するケースあり。
STEP4:電気配線工事(2〜4日)
ここが電気工事士の主担当フェーズです。直流側配線・パワコン設置・交流側幹線・接地工事を行います。
STEP5:連系申請・工事(1〜2日)
電力会社の工事が入ります。電気主任技術者または第一種電気工事士が立会いします。
STEP6:試運転・検査(1日)
絶縁抵抗測定・接地抵抗測定・系統連系試験を実施します。測定値は書面に残します。
なお、パワコンの仕様や交換タイミングについては太陽光発電のパワーコンディショナー(パワコン)交換費用と交換タイミングが参考になります。
産業用太陽光発電の工事費用の相場
電気工事費だけでいくらかかるか
産業用太陽光発電の総工事費は、規模によって大きく変わります。
50kW案件の総費用は700〜1,100万円程度が相場です。内訳の目安は以下の通りです。
・パネル代:250〜350万円
・架台・基礎:100〜200万円
・電気工事費:150〜250万円
・パワコン:80〜120万円
・その他(申請費・諸経費):50〜100万円
電気工事費の150〜250万円は、幹線材料費・パワコン設置・接地工事・試験費用を含んだ金額です。材料費が高騰している2026年時点では、上限に近い見積もりになるケースが増えています。
FIT認定と連系工事の費用も見逃せない
産業用では電力会社への系統連系工事費用が別途かかります。距離や変圧器の状況によって変動しますが、50kW前後で30〜100万円程度です。
FIT(固定価格買取制度)の買取単価や制度の詳細は、太陽光発電のFIT制度(固定価格買取制度)の仕組みと2026年の売電単価で最新情報を確認してください。2026年の産業用売電単価は10〜11円/kWhの水準です。
2026年の補助金・支援制度で工事費を減らす方法
活用できる主な補助金制度
産業用太陽光発電の工事費は補助金で一部カバーできます。2026年に活用できる主な制度は以下の3つです。
1. 需給一体型太陽光発電導入促進事業(経済産業省)
自家消費型を対象。補助上限は1,000万円。補助率は1/3〜1/2。
2. 省エネ補助金(省エネルギー投資促進支援事業費補助金)
設備費・工事費の最大1/2補助。蓄電池との組み合わせで補助額増加。
3. 各自治体の独自補助金
大阪府・東京都・愛知県など、産業用設備への独自補助を設けています。金額は10〜100万円程度と幅があります。
補助金申請は着工前に申請が必要なものが多い。工事会社に確認するのが先決です。
よくある質問(FAQ)
Q. 第二種電気工事士だけで産業用太陽光発電の工事はできますか?
A. 原則できません。産業用(10kW以上)は自家用電気工作物に分類されるため、第一種電気工事士が必要です。第二種では電気工事士法違反となります。パネルの取り付け作業など電気工事以外の部分であれば関与できますが、配線・盤工事・接地工事は必ず第一種が担当してください。
Q. 50kW未満の産業用なら電気主任技術者は不要ですか?
A. 出力50kW未満の低圧連系案件は電気主任技術者の選任義務がありません。ただし、50kW以上になると電気事業法第43条により選任または外部委託が義務付けられます。出力規模は必ず事前に確認してください。
Q. 産業用太陽光発電の工事期間はどのくらいかかりますか?
A. 50kW規模の案件で現地工事は7〜14日程度です。ただし、FIT認定申請・連系申請・補助金申請などの事前手続きを含めると、契約から発電開始まで3〜6か月かかるのが一般的です。連系工事の電力会社対応が最も時間を要します。
Q. 電気工事士資格なしの業者に依頼した場合、どんなリスクがありますか?
A. 電気工事士法違反により施工業者が罰則(3万円以下の罰金)を受けるリスクがあります。さらに、無資格施工は電力会社への連系申請が通らない場合があります。火災・漏電事故が発生した際に保険が適用されないリスクもあります。資格証のコピーを必ず施工前に確認してください。
Q. 太陽光発電施工士(JPEA認定)は必ず取得しなければなりませんか?
A. 法律上の義務はありません。しかし、大手施工会社やEPC(設計・調達・施工)企業では、施工士資格の保有を採用・外注条件にしているケースが増えています。発注元から求められるケースが多いため、電気工事士との両取りが現場では事実上の標準になっています。取得費用は受験料・テキスト込みで約4万円です。
✍️ 著者プロフィール
電気工事士歴18年。大阪を中心に年間200件以上の電気工事を担当。第一種電気工事士・認定電気工事従事者の資格保有。現場で得た実体験をもとに、電気工事に関する情報を発信しています。